医は仁術かつ算術

 
 
医は仁術、そう思います。同時に、医は算術です。
 
 
算術だとっ、けしからん医者だっ!怒)
 
 
 
 
確かに、「医は算術のみ」だったら、けしからんと思います。しかし、「医は仁術かつ算術」でなければ、人々の健康は守れないでしょう。厚労省の仕事を見てください。まさに、医は仁術かつ算術です。
 
 
 
 
国民皆保険制度維持(仁術)、かつ、保険料徴収と医療費削減(算術)
 
 
 
 
この難しいバランスを保ち続けることが、人々の健康を守ることにつながります。
 
 
 
 
(あぁ、赤ひげはいないのか〜)
 
 
 
 
いてほしいのは理解できます。ただ、医療を施すには莫大なコストがかかります。もし、赤ひげ行為をしたら、医者は医者を続けられないでしょう。
 
 
 
 
(えっ、そうなの?!何で?)
 
 
 
 
例えば、スーパー外科医が貧しい子供の手術を無料で引き受けたとします。手術は無事終わり、患者は元気になり退院しました。スーパー外科医は「いい仕事をしたなぁ」と悦に入(い)っています。後日、そのスーパー外科医に高額の請求書が届きます。
 
 
 
 
   請求書
スーパー外科医 御侍史

 手術室使用料
 麻酔機材使用料
 手術道具使用料
 病棟使用料
 薬剤使用料
 検査費用
 入院諸費用
 助手医師人件費
 看護師人件費
 麻酔科医人件費
 事務員人件費
 電子カルテ使用料
 ・・・
合計248万円也
 
 
 
 
その医者が裕福な医家出身じゃない限り、支払いはできません。医者の多くは、勉強で身を立てたサラリーマンの子供です。
 
 
 
 
(良いことしたんだから、踏み倒しちゃえば!)
 
 
 
 
踏み倒してもいいですが、もし、貴方の家族が、その手術に駆り出されて看護師だったらどうしますか。働いた分の給料が入ってこなくなりますよ。
 
 
 
 
(うぐぐ。。。)
 
 
 
 
その上、こんな言葉を投げかけられます。
 
 
 
 
スーパー外科医「赤ひげである俺様に賛同したんだろ!? 働いた分をよこせなんて、けしからん看護師だなっ。医は算術じゃない、仁術だ〜」
 
 
 
 
納得する人、いないですよ。
 
 
 
 
(確かにいません)
 
 
 
 
だから、国民皆保険があるんです。
 
 
 
 
(んっ?)
 
 
 
 
みんなで保険料を出し合って、みんなで赤ひげ先生になっているんです。
 
 
 
 
(熟考中・・・)
(熟考中・・・)
(熟考中・・・)
 
 
 
 
(あー!わかったぞ。赤ひげ先生が1人いても、その仁術は持続可能じゃないんだ。だから、国民一人ひとりが赤ひげ先生として保険料を出し合えば、国民皆保険と言う赤ひげ先生制度が出来あがるんだー)
 
 
 
 
その通りです。
 
 
 
 
今回は、医系小論文対策シリーズ第一弾です。医学部志望ならば、「医は算術」を小論文の題材として応用してみましょう。
 
 
 
 
(難しそう・・・)
 
 
 
 
意外と簡単です。
 
 
 
 
「医は算術」と言われれば、誰も感心しませんよね。たしかに、「お金で命が左右される」なんて気持ちが良いものではありません。しかし、算術の捉え方を変えることで、この一般的な認識をひっくり返します。
 
 
 
 
1 非常識な結論:医は算術かつ仁術である

「一般的にはすぐに受けいられない結論」を提示することで関心を集める。そして、それを納得させるための論を展開する。
 
 
2 常識の確認:医は仁術であるべき、算術なんて許さない。

先ずは、一般的な認識(常識)を確認する。以降、この常識が間違いであることを示す。ここでは反例を使う。
 
 
3 常識の否定(反例):赤ひげ行為は莫大なコストが掛かるので個人では持続不可能

スーパー外科医の赤ひげ行為(仁術)が、高額の請求書(算術)の前に屈した事例から、「算術なしでは仁術が成立しない」と反例を示す。
 
 
4 非常識な結論:国民皆保険は算術に基づいた仁術である

国民皆保険制度は、皆からお金を集めること(算術)によって遍く医療を施す制度(仁術)になっている。しかし、それを意識している人は少ない。ただ、説明を受ければ、誰でも、「国民皆保険は算術を前提として仁術になっている」ことを理解できる。また、3の反例だけでは、納得したくない人も、既に存在している制度の見方を変えることで「あ~なるほどね。予算(算術)が組めなければ、皆保険(仁術)を提供できないよね」と理解できる。その結果、反例だけでは納得できなかった感情が消え、論者の非常識な結論を、新たな常識として納得させることができる。
 
 
 
 
なお、「一見非常識な意見を述べているが、実は、それが、皆がまだ気づいていない真の常識だ」と結論付ける手法は、受験小論文において最も簡単に習得でき、かつ、書いてい飽きない手法です。
 
 
 
 
さてさて、今年、当院から、国立大学医学部医学科の合格者が出ました。情報開示により、小論文の点数が良かったそうです。指導していた内容の一つ「チーム医療は悪」を上手く設問に合わせられたようです。模範解答の詳細は書きませんが、論の根幹だけは書いておきます。
 
 
 
 
1 非常識な結論(真の常識):今のチーム医療は悪
 真のチーム医療には、リーダーが必要だ。そのリーダーは医師である。
 
 
2 今の常識:チーム医療こそ真実
 医師が偉いんじゃない。患者も含めた各医療者がみんなで方針を決める。チーム内に序列はない、フラットな組織であるべきだ。
 
 
3 常識の否定:今のチーム医療は機能不全
 今のチーム医療にはリーダーがいない。「リーダーを設定しないことがチーム医療に必要だ」と誤解されている。そんなチームでは、多数決で方針が決まり、責任の所在が曖昧なままとなる。
 
 
4 非常識な結論(真の常識):強力なリーダーがいるチーム医療に
 強力なリーダーが存在するからこそ迅速な意思決定ができる。かつ、その責任の所在もはっきりする。「強力なリーダーが率いる真のチーム医療が必要だ」と結論付ける。
 
 
 
 
ちょっとだけ解説
パターナリズム(医師独断)の否定からチーム医療が生まれた過程を鑑みれば、たしかに、チーム医療が今の常識です。しかし、「今のチーム医療が不完全だ」と医師は痛感しているので、「チーム医療は悪」として常識を疑うタイプの論を展開しました。一見、この結論はパターナリズムに逆戻りしているようですが、それを小気味良くかわし、真のチーム医療を納得させる展開を楽しんでいただけたらと思います(ここでは書きません)。
 
 
 
 
・・・医系小論文は指導が難しいです。と言うのも、多くの学校や塾には医者がいないので、医者目線で常識を疑うことが難しいからです。「今のチーム医療がどう間違っていて、どう機能不全を起こしているか」、これは医者にしかわかりません。もし、一般的なチーム医療についてのみ指導されていたら悲劇です。採点者が医者の場合、「何もわかっていないな、この受験生は」と思うでしょう*。
 
 
*小論文の採点は、内容の深さではなく、論理展開の明快さが最重要です。矛盾なく論が展開し、全体としてシンプルなことが合格答案につながります。内容はありきたりでかまわないです。たとえ、医者にしかわからない深い内容を書いても、文章構成が矛盾だらけで複雑であれば、合格答案にはならないでしょう。
 
 
 
 
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石橋経由の箕面の滝は・・・今日は無理。池田→川西能勢口→宝塚のジョグ。復路もジョグと思いきや、疲れて電車へ。爆睡したら梅田。そして、ビール。美味い。
梅田 ビール 川西能勢口 宝塚 池田 石橋 箕面